企業がクラウドインフラを拡大し、AI 主導の自動化を進めるにつれて、サービスアカウント・マシン認証情報・API キー・インフラリソースといった「人間ではない ID」が急速に増加しています。Keeper では、これらを NHI(Non Human Identity/非人間アイデンティティ) と呼びます。本記事では、Keeper における NHI の定義、種類、数え方を解説します。
NHIとは
NHI とは、KeeperPAM、および Keeper Secrets Manager(KSM)がお客様に代わって管理・保護する、サービスアカウント・クライアントデバイス・インフラリソース・マシン・ワークロード ID の総称です。NHI は以下 3つのカテゴリに分類されます。
①PAMリソース
特権アクセス管理の対象となるサーバー、データベース、クラウドリソース、管理対象インフラを指します。リモートブラウザ分離(RBI)セッションも含まれます。
主な対象例:サーバー/仮想マシン、データベース、クラウドリソース、管理対象インフラ、RBI セッション
② PAM ユーザー
Keeper ゲートウェイが、管理対象システムへの認証・認証情報の自動ローテーション・特権アクセスの仲介に利用するアカウントを指します。
主な対象例:データベースアカウント、サービスアカウント、ディレクトリアカウント、IAM アカウント
③ KSM クライアントデバイス
Keeper Secrets Manager に認証してシークレットを取得する、マシン・サービス・実行インスタンスを指します。各デバイスには登録時にアクセス用の固有トークン(暗号鍵)が割り当てられ、ライセンス上の「KSM デバイス数」は登録済みトークンの数を意味します。
主な対象例:CI/CD パイプライン、AI エージェント、Terraform スクリプト、GitLab/GitHub/Ansible/Jenkins/Docker/Jira/ServiceNow など
アクティブなNHIとは
Keeper で管理・課金の基準となるのは「アクティブな NHI」です。アクティブな NHI とは、契約期間中にシステムアクセスやシークレット取得などの 特権操作を実際に実行した ID を指します。
- 各 ID は、操作回数に関わらず契約期間ごとに1回のみ カウントされます。
- 特権操作を行っていない ID は、Keeper に設定済みであってもカウント対象外です。
- 一度でも特権操作を実行した ID は、その後に利用停止した場合でも、当該期間はアクティブな NHI として扱われます。
- 人間の管理者・エンドユーザーは NHI の対象外です(通常の KeeperPAM ユーザーライセンスの対象となります)。
NHIの数え方
アクティブな NHI の合計数は、次の式で計算します。
PAM リソース + PAM ユーザー + KSM クライアントデバイス = アクティブな NHI の合計数
実務上は、次の3つのポイントを洗い出すと計算しやすくなります。それぞれ上記のカテゴリに対応しています。
① 認証情報を管理するサーバ・デバイス数(= PAM リソース)
特権管理者・ユーザーがアクセスする対象システムの数です。サーバー・VM・コンテナ・クラウドワークロード・データベース・ネットワーク機器などが該当します。
※ Keeper Gateway もカウント対象に含まれます。
② パスワードローテーションを実行する特権 ID 数(= PAM ユーザー)
1つのシステムに対し、特権 ID は「役割」や「用途」ごとに分かれているため、複数存在する場合があります。特権 ID の例:OS 管理者、運用担当者、アプリケーション・ミドルウェア担当者、サービスアカウント(バックアップソフト・監視ソフトなどのプロセスが利用)など共有アカウントを利用する場合は、サーバ・デバイス数と同じ数になります。
※ パスワードローテーション機能を利用しないサーバーの特権 ID は対象外です。
③ KSM デバイス数(= KSM クライアントデバイス)
各種ツールから Keeper Vault にアクセスする際のトークンの数です。1つのツール(1トークン/設定)につき1NHI としてカウントされます。
ご契約製品ごとのカウント対象
NHIの3カテゴリのうち、実際にどれがカウント対象となるかは、ご契約の製品によって異なります。KSM クライアントデバイス(③)は、Secrets Manager(KSM)をご契約の場合に対象となるカテゴリです。
KeeperPAM における NHI
KeeperPAM は上記を統合した製品のため、①②③のすべてがカウント対象です。すなわち「接続先リソース(①)+ ローテーション対象アカウント(②)+ KSM デバイス(③)」の合計が NHI 数となります。
Keeper Secrets Manager(KSM)における NHI
NHI のカウントは、アクティブな KSM デバイス(③)の数に連動します。たとえば CI/CD パイプラインに単一の KSM デバイス(1つのトークン/設定)が使用されている場合、それは1NHI としてカウントされます。
よくある質問
Q1. 使用していないリソースもカウントされますか?
A1. いいえ。契約期間中に特権操作を実行した NHI のみが対象です。サーバーやサービスアカウント、クライアントデバイスが設定済みであっても、契約期間中にアクセスやシークレット取得を行っていなければカウントされません。
Q2. エージェントは NHI としてカウントされますか?
A2. はい。自動化ボット、DevOps エージェント、監視エージェント、AI エージェント、CI/CD ランナー等も、Keeper への認証やゲートウェイ経由でのシークレット取得を行う場合は NHI としてカウントされます。
Q3. 複数のリソースで同じ認証情報を使っている場合は、1つとしてカウントされますか?
A3. 各 ID はそれぞれ1つの NHI としてカウントされます。PAM ユーザー(サービスアカウントの認証情報など)は、アクセス先の PAM リソース数に関わらず1NHI としてカウントされます。一方、アクセス対象となる PAM リソース自体は、それぞれ個別の NHI としてカウントされます。
Q4. 人間の管理者も NHI としてカウントされますか?
いいえ。NHI は非人間アイデンティティのみを対象としています。人間の管理者・エンドユーザーは通常の KeeperPAM ユーザーライセンスの対象です。なお、ここでいう「PAM ユーザー」は人間のユーザーではなく、データベースアカウント・サービスアカウント・ディレクトリアカウント・IAM アカウントを指します。